会社員時代の健康保険との違い
会社員のときに加入していたのは、勤務先の健康保険組合や協会けんぽの健康保険でした。この保険料は会社と従業員で半分ずつ負担する仕組みになっており、給与明細に載っていた金額は、実際にかかっている保険料の半分だったことになります。
個人事業主になると、多くの場合は市区町村が運営する国民健康保険に加入します。ここで大きく変わるのが、労使折半がなくなり、保険料の全額を自分で負担するという点です。同じような収入水準でも保険料の実感が重くなるのは、この負担割合の違いが理由の一つです。
さらに、扶養の考え方も変わります。会社員の健康保険には「被扶養者」という仕組みがあり、条件を満たす家族は保険料の追加負担なく加入できました。国民健康保険にはこの被扶養者という考え方がなく、家族一人ひとりが加入者としてカウントされます。世帯人数が多いほど保険料が上がっていくのはこのためです。
保険料は三つの部分の合計で決まる
国民健康保険料は、一つの計算式でぽんと出てくるものではありません。次の三つの要素を組み合わせて計算されます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 医療分 | 医療給付にあてられる、全加入者が負担する部分 |
| 後期高齢者支援金分 | 後期高齢者医療制度を支えるための部分 |
| 介護分 | 40歳から64歳までの加入者のみが負担する部分 |
そして、それぞれの区分の中がさらに次のように分かれています。
- 所得割 … 前年の所得に応じてかかる部分
- 均等割 … 加入者一人あたりで定額かかる部分
- 平等割 … 一世帯あたりで定額かかる部分(採用していない自治体もあります)
つまり、三つの区分にそれぞれ所得割・均等割などが設定され、その総合計が年間の保険料になる、という構造です。計算が複雑に見えるのは、この入れ子構造が理由です。
なぜ自治体によって金額が違うのか
国民健康保険は市区町村が運営しているため、料率や均等割の金額は自治体が独自に設定しています。同じ所得・同じ世帯構成であっても、住んでいる市区町村が変われば保険料は変わります。
この差が生まれる背景には、その自治体の加入者の年齢構成、医療費の水準、財政状況といった事情があります。高齢者の割合が高く医療費がかさむ自治体では保険料が高くなりやすく、逆に一般会計から補填を行っている自治体では抑えられている、といった違いが出てきます。
ですので、インターネットで見かけた保険料の試算がそのまま自分に当てはまるとは限りません。正確な金額を知りたい場合は、お住まいの市区町村のウェブサイトで料率表を確認するか、窓口で試算してもらうのが確実です。
前年の所得で決まるという落とし穴
国民健康保険料の所得割は、前年の所得をもとに計算されます。所得税や住民税と同じ考え方ですが、ここにも住民税と同様のタイムラグの問題があります。
売上が大きかった翌年は、保険料も高くなります。そしてその高い保険料の請求が来るのは、収入が落ち着いた後かもしれません。開業して数年目に「思っていたより保険料が高い」と感じる方が多いのは、事業が軌道に乗り始めた年の所得が、翌年の保険料に反映されるからです。
軽減・減免の制度がある
所得が一定以下の世帯には、均等割・平等割を軽減する制度が設けられています。また、失業や廃業、災害などで所得が大きく減った場合には、申請によって減免を受けられることがあります。
軽減は所得の申告内容から自動的に適用されることが多い一方、減免は申請が必要なケースがほとんどです。「払えないかもしれない」と感じたときは、滞納する前に自治体の窓口に相談してください。分割納付の相談に応じてもらえることもあります。
負担を抑えるために考えられること
国民健康保険料は前年の所得で決まる以上、所得を適正に把握することがそのまま保険料に効いてきます。具体的には次のような点が関わってきます。
- 経費として計上できるものを漏らさず拾い上げる
- 青色申告を選び、特別控除を適用する
- 国民年金基金や小規模企業共済など、所得控除になる制度を検討する
ただし、所得割の計算では所得控除のうち一部しか反映されない点には注意が必要です。所得税の計算で使える控除が、そのまま保険料の軽減につながるとは限りません。
また、家族に会社員がいる場合は、その健康保険の被扶養者になれるかどうかを検討する余地もあります。収入の条件などがありますが、該当すれば保険料の負担が大きく変わります。
もう一つの選択肢として、業種によっては国民健康保険組合(建設国保、文芸美術国保など)に加入できる場合があります。所得にかかわらず定額であることが多く、所得が高い方にとっては有利になるケースがあります。ご自身の職種で加入できる組合があるか、一度調べてみる価値はあります。
自分の場合の概算を見てみる
正確な金額は自治体ごとに異なりますが、大まかな目安を知っておくと資金繰りの心構えができます。
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